eGenjiko:インタラクティブな香炉を用いた
香道体験システム

eGenjiko(いーげんじこう)

  • Hardware: Aromastic(Sony社製)・Arduino・ASUS ZenPad 8.0(ASUSTeK社製)
  • Software: Android Studio・HTML・CSS・ JavaScript
  • YouTube: coming soon
香道の遊び方の一つである「源氏香」を基に、インタラクティブな香炉とタブレットを用いて類似の遊びを体験できる「eGenjiko」を開発した。

本研究の特徴

  • 香道初心者向け
  • 香道の組香の一つである「源氏香」を基に、インタラクティブな香炉とスマートデバイスを用いて手軽に体験可能。
  • 既存のアロマディフューザーを用いるため、安価に体験可能。

概要

日本の伝統芸道の代表の一つに香道がある。香道は、香木や香炉などの専用の香道具を用いて、香炉で焚いた香木の香りを嗜む芸道である。茶道や華道と比較すると香道の認知度は極めて低く、香道経験者が少ないのが現状である。香道の認知度が低い理由として、香道で用いる香木は金より高価であり、手軽に体験出来ないことが挙げられる。本研究では、コンピュータ制御可能な香炉と解答用紙に見立てたタブレットを用いて、香道の遊び方の一つである「源氏香」を体験可能となる香道体験システムeGenjiko (いーげんじこう)を提案・実装した。eGenjikoにより、時や場所を選ばず、初心者でも手軽かつ安価に香道体験が可能になる。

システム構成

本システムの香炉は、3Dプリンタを用いて出力した香炉型ケース、市販のアロマディフューザ(Aromasic)によって構成され、香炉型ケースの中央に香り噴出ボタンを配置した。回転台は、3Dプリンタを用いて出力し、回転台内にステッピングモータ、ステッピングモータの回転制御するためのマイコン(Arduino)、サーバPCを設置した。香り提示のために使用したAromasticは,5種類の香りが提示可能なカートリッジ・電源・香り噴出ボタンを有している。ユーザがAromastic本体上部にあるダイヤルを回転させて、任意の1種類の香りを選択し、香り噴出ボタンを押下して香りを楽しむことができる。

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使用手順

  • 香炉を回転台に設置:プレイヤーは、香炉を回転台に設置し、タブレット端末に表示されたアプリケーション内のスタートボタンを押下する。回転台は香炉内のAromasticの下部を回転させて、5種類の香りのいずれかをランダムに選択する。
  • 回転台から香炉を取得:プレイヤーは、香炉を回転台から取り外し、香炉を把持していない方の手を香炉の底に添えながら香炉を持つ。
  • 香を聞く:プレイヤーは、香炉の香り噴出ボタンを押下し、選択された香りを聞く。1・2番の手順を5回繰り返した後、プレイヤーは5つの香りの異同を解答する準備が整った状態になる。
  • タブレット端末に回答:タブレット端末に「源氏香の図」の解答ページとして、5本の縦線(最右が1番目の香り,最左が5番目の香りを示す)のみが表示される。プレイヤーは同香と思われる番号に相当する縦線の上部を、横線で繋いで答えを入力する。

発表文献

  • Anna Yokokubo, Yasushi Matoba, Miku Ohno, Mudmee Chaichirawiwat, Guillaume Lopez, Itiro Siio: eGenjiko: Scent Matching Game using a Computer-Controlled Censer, Extended Abstracts of the Annual Symposium on Computer-Human Interaction in Play (CHI PLAY '19), pp.789-795 (2019).