CADo:身近な花材を利用したいけばな支援システム
概要
日常生活に花を取り入れることは、心を豊かにする。日本では、花を多様な材料と組み合わせて構成し鑑賞する芸術として華道があり、同様の生け花は海外でも幅広く好まれている。しかし、一般的には 華道は親しみにくい存在であり、生け花に取り組むまでに敷居が高いのが現状である。そこで本研究では、手元の花材から、生け花のレイアウトをシミュレーションし、生ける手順をユーザに提示することで、誰でも簡単に生け花を作成できる、いけばな支援システムCADo(きゃどう)を提案し実装した。CADoのシミュレーションでは、華道の法則である「たてるかたち」・「かたむけるかたち」・「集中的な構成」の3種の形に対して華道アルゴリズムを構築し、適用した。CADoのユーザビリティおよび有用性を確認するために、ヨーロッパ圏の女性を対象とした評価実験を行った。
システム構成
本システムはAndroid 3.0上でFlash Builderを用いて実装した。ユーザはMotorola XOOM内蔵のカメラ(500万画素)を用いてが花材の写真を撮影し、撮影した写真を静電容量式タッチパネル(10.1インチ)上で画像の切り抜き範囲を指で指定する。指定した画像から花材の配置と配色を判定し、華道のレイアウト規則に準じたいけばなレイアウト案を複数生成し、シミュレーション結果として提示する。


使用手順
- 花材を撮影:ユーザは白い机上に手持ちの花材を起き、CADoがインストールされているタブレットコンピュータで花材を撮影する。
- 花材を花材リストに登録:撮影した写真から、使用する花材を選択し、花材リストに登録する。花材の切り抜きはタッチパネル上で指で領域を指定する。
- 自動シミュレーション:花材リストに登録した花材画像に最適ないけばなレイアウト案を複数生成し、タブレットコンピュータ上に表示する。
- 画面を見ながら花をいける:ユーザはシミュレーション結果画面を確認しながら、実際に花をいける。
評価実験
CADoのユーザビリティ及び支援に対する評価を行った。 華道は男性よりも女性の方が馴染み深い文化として浸透している社会的背景を踏まえ、本実験の被験者は女性に限定した。また、CADoで採用した華道アルゴリズムが、華道文化の影響を受けない人々にも受け入れられることを確認する目的で、日本人以外の被験者(フィンランド、スペイン、ルーマニア、ポーランドの国籍を有する10〜50代の女性)を対象とした。
結果
発表文献
- 横窪 安奈,椎尾 一郎:CADo:身近な花材を利用した生け花支援システム,情報処理学会論文誌55(4),pp.1246-1255 (2014).
- Anna Yokokubo, Kirsti Sääskilahti, Riitta Kangaskorte, Mika Luimula, Itiro Siio: CADo: A supporting system for flower arrangement, Proceedings of the International Working Conference on Advanced Visual Interfaces, pp.42-45 (2012).